20260626 - 抽出

雨のせいか頭が重い。午前中は本を読んで過ごす。

本格化する前にスーパーに行っておこうと思い、ついでにその前に喫茶店でエスプレッソを。わかっているけどまだ不慣れなその小ささに新鮮に驚く。数口で飲み切ってそのまま粘る。半分くらい飲んでから砂糖を入れたら良い感じだった。

『失われた時を求めて』2巻を読み終える。

恋というテーマは文学ではスタンダードなものだが、人間の矛盾した感情を写し取っていて、読ませる。後半の〈土地の名ーー名〉では一転して観念的なくだりも多くなった。〈スワンの恋〉だけ抜粋して単行本にもなっているくらいで、それぞれの部には多少独立した味があるようだ。とはいえ2巻続けざまに読んだいまエスプレッソのダブルショットみたいに胸がやけつつある。残り12巻もある。

ワールドカップは日本戦は後から観た。ブラジルとあたるのは面白い。それくらい格上の相手のほうが見応えがある。チュニジアは試合外のゴタゴタなどもあって選手が気の毒なこともあり、応援していたけれどオランダの壁は厚かった。エクアドルがドイツに勝ったのはかなり面白い試合。

急に色々なものを片付けたくなって久しぶりにゼルダを進めた。草地や洞窟を探索するのは切り上げて諸悪を滅していく。かなりだらだらやってきたので装備なども強くなっていて結構さくさく進む。あと数日のうちにメインストーリーが終わったらいいのだけど。

今日はYoung Marble Giantsの〈Final Day〉を訳してみた。もう15年近くにわたって聴き続けている大切なグループ。ほぼ全音源がサブスクリプションで聴けるので未聴の人はぜひ聞いてみてほしい。このミニマルかつローファイな感じは2026年の今こそ大勢の"気分"に乗っかれるはず。なんならTikTokとかで使われてもおかしくない。

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発作的にかわいい犬の動画を観たくなってYouTubeで検索するも、全然好みのものが見つからない。BGM・効果音なし、テロップなし、人間の声なしという条件に合うものがなかなか見つからない。犬の動画をつくる人もぜひYoung Marble Giantsを一度聞いてほしい。結局、14年前とかの素朴な時代の動画しかあてはまらず、可愛いけれどこの犬たちは今いったい……と想像すると無闇に哀しい気持ちになる。

和訳: Final Day - Young Marble Giants

When the rich die last like the rabbits running
From a lucky past full of shallow cunning
And the world lights up for the final day
We will all be poor, having had our say
金持ちが最後に死ぬとき まるで兎のように
幸運な過去から逃げ出す 浅知恵だらけの
そして世界が輝くとき 最後の日に向けて
私たちはみんな貧しくなる 言いたいだけ言った後で

Put a blanket up on the window pane
When the baby cries, lullaby again
As the light goes out on the final day
For the people who never had a say
毛布で窓ガラスを覆って
赤ちゃんが泣いたら子守唄を続けて
光が消えていくなかで 最後の日
言いたくても言えなかった人たちのための

There is so much noise, there is too much heat
And the living floor throws you off your feet
As the final day falls into the night
There is peace outside in the narrow light
たまらなくうるさい 耐えがたく熱い
そしてリビングの床に足を掬われる
最後の日が夜に沈んでいくなかで
平穏は外にある ひとすじの光のなか

1980年リリースの《Colossal Youth》はポストパンク史に燦然と光る大傑作、削ぎ落としの美学、静かなる激しさ。それは同年に世界と別れを告げたイアン・カーティスとも響き合う世紀末的なイギリスの諦観を写し取ったものでもある。
〈Final Day〉は上記のアルバムではなくシングル盤でリリースされた出色の曲。インタビューによれば核戦争の恐怖からインスピレーションを受けて書いたという。

20260625 - 手放し

午前中に野暮用を済ませる。雨で自転車が使えず不便。横殴りの風が吹き順調にびしゃびしゃになる。

帰り、ついでにスーパーで買い物をする前に雨が強くなってきたのでチェーンの喫茶店に入る。気まぐれでエスプレッソを頼む。正直ヨーロッパへのミーハー心があるので、パリでアン・キャフェと言ったらエスプレッソだと思えば憧れも高まるけれど、チェーン店のいやにほっこりしたカウンター席で飲んでいるとあまり風情は出ない。それでも久しぶりのエスプレッソは濃くて美味い。同じ粘るにしてもブレンドを冷めきってから尚ちびちびやっているより、潔くさっさと飲んだ空のエスプレッソカップを前にして堂々と本でも読んでいるほうが気分はいいかもしれない。次は砂糖を入れてデザートのようにしたいなと。

帰宅後、小説を書いてみる。5,500字くらい進めて、とりあえず今書いているものは終わったことにした。短編〜中編くらいの長さになった。それにしても絶望的に面白くない。完膚なきまでに醜悪な出来。もう自分に面白い小説を書くような才知がもともと備わっていないことは十分わかったから、考え方ごと切り替えて、違う方法で試してみるしかない。それなのになんで書き続けているかといえば、読んでいる以上は書きたくなるからとしか言えない。目的や達成したいことはない。そのための手段として行動が生まれるわけではない。しかしピュアな面白さに到達するにはむしろ外発的なエネルギーというか、川から釣り上げたものをそのまま放り出すように、外部に目を配ることがどこかで必要だってのは薄々わかってきた。

『失われた時を求めて』2巻を420ページくらいまで。スワンの恋愛話に挿入される社交界の人間模様。プルースト自身も足を運んでいたであろう舞台の緻密な描写は読み応えがある。スワンが苛まれる嫉妬と愛憎のダイナミクスを丹念に筆で追っていくくだりは、なんというか幻想の宝石を顕微鏡で覗くような、実物のないものが理知的に解剖されるような不思議な感覚に陥り、いつまでお前の恋バナ聞かされるんだよという気持ちには全然ならない。

ワールドカップではハイチを応援していたけれどモロッコに敗北。それでも2点シュートを決めたのは素晴らしかったし出場したこと自体が今後大きな意味を持てたらいいと思う。残り注目はカーボベルデで、スペインとウルグアイ相手に引き分けという善戦をしている初出場国、次のサウジアラビア戦次第ではトーナメント出場もあり得る。

今日は〈Candy Says〉の歌詞訳をアップした。人気曲だろうけど自分も大好きな曲。ヴェルヴェッツの3rdは死ぬまで聴き続けるだろう5本指に入るアルバム。

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和訳: Candy Says - The Velvet Underground

Candy says, I’ve come to hate my body
And all that it requires in this world
キャンディは言う
嫌いになってきたの 私の体が
それから体が求めることすべてが
この世界で

Candy says, I’d like to know completely
What others so discreetly talk about
キャンディは言う
知ってみたいの 全部
他の人たちがそんなに大人ぶって
何を話しているのか

I'm gonna watch the bluebirds fly
Over my shoulder
私は見るの 青い鳥が飛ぶところを
振り返って

I'm gonna watch them pass me by
Maybe when I'm older
私は見るの 鳥たちが通り過ぎていくところ
たぶん私が歳をとってから

What do you think I'd see
If I could walk away from me?
あなたは私に何が見えると思う?
もしも私が歩き去っていけたなら
私自身から

Candy says, I hate the quiet places
That cause the smallest taste of what will be
キャンディは言う
嫌いなの 静かな場所が
ほんの少し感じてしまうから
これから起きることを

Candy says, I hate the big decisions
That cause endless revisions in my mind
キャンディは言う
嫌いなの 大きな決断が
永遠にやり直しをさせられるから
頭のなかで

I'm gonna watch the bluebirds fly
Over my shoulder
私は見るの 青い鳥が飛ぶところを
振り返って

I'm gonna watch them pass me by
Maybe when I'm older
私は見るの 鳥たちが通り過ぎていくところ
たぶん私が歳をとってから

What do you think I'd see
If I could walk away from me?
あなたは私に何が見えると思う?
もしも私が歩き去っていけたなら
私自身から

難解な言葉はないけれど深い。

discreetlyを“大人ぶって”としたのは意訳。直訳なら「こそこそと」くらいかもしれない。キャンディの疎外感、受動性、諦念のなかにいながらも口をつく静かな怒り。

曲はアンディ・ウォーホルの映画に出演して脚光を浴びた俳優キャンディ・ダーリングがモデルだという。キャンディがトランスジェンダーであったことをふまえると歌詞の聞こえ方も変わるが、そこに収束し切らない普遍的な響きがある。

20260624 - 忘我 / 対訳

まったく意味がわからないけれど、洋楽の歌詞を翻訳していたらあっという間に1日が終わった。これはマインスイーパとかソリティアとかスイカゲームとか、無心で遊んでいるとやめどきがわからなくなるゲームと一緒で、頭がそれほど疲れないこともあって延々と続けてしまう。色々とやりたいこともあったが何ひとつ進まず。

そのうちの1つは記事として出した。今日訳してみたのはあと3,4つあるのでどこか別の機会でアップしようと思う。歌詞を訳すときに面白いのは、意味を綺麗に通す散文よりも、歌として語順を維持する工夫をしたくなるところ。英語と日本語だと自然な語順が変わるので当然ほころびが出てくるけれど、それを上手いこと繋ごうとするとゲーム感が出てくる。当時の時代感や音楽家の世界観によっても語尾を調整したくなるので奥が深い。直訳ならAIが一瞬でできるようになったけれど、細部のところで訳者それぞれの個性が出てくる気がする。それをわざわざ読もうと思う人がどれくらいいるのかわからないが。ルー・リードは文学をやっていたので歌詞も考えがいがある。

h-i-r.hatenablog.com

歌詞がある曲とない曲、聴きたくなる周期が定期的に回ってくるのですぐに飽きてしまう予感はする。

『失われた時を求めて』2巻は300ページくらいまでしか進めず。小説も500字くらいカスみたいなものを書いて終わった。

今週自作したクラフトコーラはまあまあ。

ワールドカップ。コンゴはキーパーが素晴らしいプレーを何発もするが、惜しくも勝ち点ならず。パナマも初の勝ち点がかかっているとなると応援したくなるものの惜敗だった。