個人的リュックサック史

昨日から--Bong--つーわけで実家に帰ってきたけれど、退屈で仕方がない。

自室の押入れの中には、退屈さとともに置いてきた服や小物のたぐいが、埃もかぶらずに眠ってる。こんなの持ってたっけ、と思うようなものが出番を待つかのようにきっちり並んで安置されていて、つい目を背ける。

ずっと実家から出たかったな。

そういうとりとめない「旅」や「冒険」への憧れを、リュックサックに託していたのかもしれない。

不思議なもので、一人暮らしを始めてからはショルダーバッグのほうがしっくりくるようになったし。

でも学生のころは、かばんの中で一番リュックが好きだった。理想的なリュックを求めて、やたらと古着屋やネットオークションを巡っていた......金もないのに。良いリュックさえあれば、いつでも旅の途中の気分になれると思ったのか。

結局、理想的と言えるリュックは見つからなかったけど、あの愛おしき無駄遣いの日々が少しでも今の買い物を有意義なものにしていると信じたい。いま、古いアルバムをめくるように、当時のリュック遍歴と、大事にしていたものを振り返ってみよう(ここで松任谷由実が流れる)。

1.Wegoのよくわからない黒いやつ

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覚えている限り、自分の金で始めて買ったリュックがこいつだった。

片田舎に住むピュアボーイにとって、Wegoが"ルイーダの酒場"だったのだ。

(しばらく後、ヒゲの店員にヒョウ柄のハットをゴリ押しされることで嫌いになるが、それは別の話)

2,000〜3,000円で買ったこのリュック。素材はコットン。小さいポケットがいくつかついてる。真っ黒で、四角いブタ鼻がアクセントになっていた。この手の装飾過多に惹かれる時分だったのだろう。

買ってから、制服が上下黒の学ランなのに、なんでまた真っ黒のリュックを買ってしまったんだろうと後悔した。

でも「全身黒でシャドーメンになっちゃった」と女の子に言ったら、「そう?別にいいと思うけど」と言われて、「そうか、別にいいのか」と思ったことを覚えている。

中に入れていた制汗剤が暴走した結果、白い粉が取れなくなってお役御免になった。

2.JANSPORTのデイパック(並行輸入)

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さて、ブランド信仰と小遣い不足の間で揺れる若者の味方は、古着屋とネット通販だと思う。なにせ昼飯を抜いて浮かせた金でディスクユニオンに通いまくる高校生活だから(我が家は弁当ではなく買い食い方式だった)、さすがにファッションまで潤沢な金を回す余裕はなかった。とはいえ生活圏内の古着屋(というかリサイクルショップ)と言ってもたかが知れている。

当然クレジットカードなんて持ってないので、ネット通販に対する腰の重さはあったものの、"コンビニ支払い"という技を覚えてついにリュックを購入した。実店舗で買うよりずっと値下がりしていることに感動した......注釈に書かれた並行輸入の意味はまったくわからなかったが。

ともかくJANSPORTのデイパックが届いた時は本当にテンションが上がった。鈍く光るロゴラベルから数々のディテールを惚れ惚れと眺めていた......。色はオリーブでザラザラのナイロン生地、スエードの切り替え、分厚いショルダーストラップ。リュックといえばアウトドアブランド、という信仰はこの時に根付いたのかもしれない。

これはかなり気に入っていて、底のスエードがツルツルになるまで使っていた。

今でも「何でもいいならJANSPORTでいいんじゃね?」という気持ちはある。リーズナブルだし、作りも十分だからガシガシとリュックらしく適当に使える。Outdoor productsとかGREGORYに比べたら、なんとなく被りづらい気もするし。色もたくさんあるし。

3.GREGORYのカジュアルデイ

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GREGORYに手を出さないわけがない。買うか買わないかは別として、スニーカー好きがadidasを手に取るようなものだ。

本当はDay packやday & halfといった"定番"が欲しかったけど、新品で買うにはあまりにも高かった。それに、わりと小柄な自分が背負っても似合わないんじゃないかと思った(後述する通り、結局買うんだけど。。。)。

色は前代のJANSPORTと同じオリーブをチョイスした。サイズは少し小ぶり。

日常使いには十分なサイズで、ショルダーストラップは確かに背負いやすかった。ただ、荷物を入れすぎた時にシルエットが野暮ったくなるせいか、それほど思い入れはなかった。かばんに対する「大は小をかねる」的な発想が芽吹いてきたかもしれない。

とはいえ使い勝手は良いのでそれなりに使っていた。

厚くて安定するショルダーパッドが良かった。

4.GREGORYのデイパック(青タグ)

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GREGORYがわりと街中で被ることに気づいた俺は、旧タグに目をつけた。現行品と違うタグはそれだけで差別化になる。

ネットで見つけた青タグのDay packは、買えない価格ではなかった。

それに、90年代っぽいツートンカラーがかなりかっこよく、黒いマウンテンパーカーに合わせれば映えるんじゃないかと思った。アウトドアブランドの90年代の鮮やかなツートンカラーは、全然今でも通用すると思ってる。原色のナイロンはかっこいい。。。

が、実際に使ったのは1,2回だった。

背負ってみると体格的にやっぱり似合わなかったし(おいおい)、旅行とかならともかく、普段使うには不自然にデカい(大は小をかねる理論がさっそく崩れることになる)。皮肉にも派手目なツートンカラーのせいで、サイズの大きさはより際立った。真っ黒なら大きさも気にならなかっただろうに。。

また、GREGORYの古着特有の「防水コーディングが劣化した匂い」をこの時に知ることになる。

使い込まれたGREGORYは内部の防水コーディングがはがれていき、独特の匂いがする(お世辞にも良い匂いとは言えない)。用途に限らず経年劣化だから、たぶん旧タグで匂いナシのものを買うのは物理的に不可能だろう。

結局、ろくに使わないまま古着屋に売りはらう羽目になった。

この後、RAGTAGでさらにデカいday and halfのブラックを試着することになるけど、ノリで買わなかった自分を褒めてやりたい。モノがいくらかっこよくても合わないことはあるのだ。

5.The North Face Purple Label のデイパック

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大学のキャンパスで、これをよく見かけた。

古着屋で安く見つけたので買ってみたけど、思ったよりサイズが小さくてあまり気に入らなかった。上下の収納分けシステムも、大きめの書類を入れるには適さない。(大きかったり小さかったり、、、リュックは本当に難しい)

Purple Labelの65/35の生地は、丈夫だけどスムースな表面。ゴリゴリのアウトドア色がなくて良い(ただし、壁とかに擦れた時のアタリは付きやすくなる)。部分使いのスエードのざらつき感も好みだった。

このあと、またPurple Labelに帰ってくることになるんだけど、このデイパックはすぐに古着屋に流した。普通に先輩と被ったのも一因。

サイズ感的には女の子が背負うととても可愛いと思う。フロントのブタ鼻は、「何に使うの?」と言う人もいるけど、もともとカラビナをつけて中に入らない荷物をぶら下げるアウトドアの装いだ。個人的にブタ鼻は好き。

6.Slowのバックパック

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これも古着屋で見つけて買った。鶴田謙二のマンガ「おもいでエマノン」でエマノンが背負ってるバックパックに憧れて、フラップ式のが欲しくなった。(実際は全然似てない)。メイドインジャパンの肩書きにも惹かれた。

セルスパンナイロンは薄くてきめ細かいけど、ちょっと薄さが物足りない時もある。あと、ショルダーストラップがアウトドアブランドに比べて薄いのも気になった。

これもしばらく背負っているうちにシルエットが不満になった。フラップ式は、旅行くらいパンパンにつまっているとサマになるけど、荷物が少ないとみすぼらしくなる。セルスパンナイロンがしなやかなせいで、余計にくたっとする感じが気になった。

このへんからいよいよ「理想のリュックって難しくない?」という気持ちになってくる。

7.The North Face Purple Labelのデイパック

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さて、当時、大学のキャンパスではバックパックが大流行りしていた。

とくにメンズで流行していたのが、登山仕様かと思うほど大きくて収納はフラップ式、かつドローコードがダラダラとついているオーバースペック気味のバックパックで、色はみんなブラックを使っていた。

ブランドは、まず大量に見かけるマスターピース(ここのブラックを見かけない日がなかった、マジで)、それからポーターの異様にデカいやつ(登山家?と思っちゃうアレね。かっこいいとは思うけど)。それと庶民派なところで、Wilderness Experienceもよく見かけた。

服装は決まって無地のポケットTシャツ、8割方ホワイト。ネイビーの短パンとか黒スキニーを履いていて、ニューバランスとドクターマーチンが絶好調だった(まあ、この辺はもはや定番だけど)。

やっぱり被るのは嫌なので、俺はゴツめのバックパックよりシンプルなデイパックにしたいと思った。その頃は、nanamicaとかアウトドアファッションを都会風にアップデートした服が好きで、よくホームページでLookbookを見ていた。

その時に出会ったのがこのリュックで、なんだかんだ使っている年数は一番長いと思う。素材はこのブランドおなじみの65/35で、、、他に言うことがないほど、とてもシンプルな作り。

意外とマチがあるので、パンパンに詰めれば25Lくらい入るから、旅行の時にも重宝する。デカいなりに、モノが少ない時はシュッとなるのもいい。PC用のスリーブがついているのも良かった。ネイビーとパープルの中間くらいの色だ。

結局ドシンプルなほうが飽きることもないし、服装も選ばない。購入してから5年くらい経つけど、今でも全然使える。Purple Labelのロゴラベルは結構かぶるけれど、アイテム自体がかぶったことはほとんどないので、それも長年使えた理由かもしれない。

ただ、シンプルすぎるので「いつかもっと、自分にぴったりな.......」という贅沢な気持ちがないこともない。

8. Rivendell Mountain Worksのバックパック

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アメリカの職人が一つ一つ手作りしているという、80年代風のリュック。

無難なリュックを使い続けていると、こういう発作にかかる。

アメカジのヴィンテージ的な荒削り感にやられた。オレンジとブルーのバイカラーがいかにもレトロだし、ほとんど人と被らないのも良かった。

それもそのはず、購入した当時はまだ日本で取扱店はなく、アメリカから買い付けたごくわずかな店舗や、個人が輸入したものが古着屋に流れるのを待つしかなかったから。

ちなみに今では日本のオンラインストアができています。

手作りで価格も高いだけあって、素材に文句はなかった。ナイロンの無骨さをこれでもかと押し出していた。あとこれはマジで被ったことがないので、ドヤ顔で街を歩けるのも良かった(はずかしいな)。

ただ、街で使うにはレトロすぎた。

デザインは良いけど、まず背面パッドがないため、モノを入れるとシルエットがモロに崩れる(それが良さなのかな?)。しかもかなりデカかったため(学習しないな。。)、どうも見た目がすっきりしない。縦50cmを超えると、背の高い人じゃないとどうしてもリュックに負けそうになってくる。

あと存在感がありすぎて、どういう服に合わせてもこいつが主役になる。つまりアウトドアマンにならざるを得ないので、使うタイミングが限られる。(「山にでも行くの?」と聞かれたのでヤケクソで「そうそう、戸山にね」と答えていた)。

人と被らないことはそれだけで価値になるけど、定番は定番と呼ばれるだけの使いやすさがある。マニアックなものはマニアックなりのトガり方があるので、全部が使いやすいわけじゃないんだなーと学ぶ機会にもなった。

なお地元の古着屋には俺が売ったこのリュックが未だに吊り下げられているが、数年間売れていない。そこでなら1万円くらいで買えるはずだ。

9.PoLER Outdoor Stuffのリュック

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あまり被らず、スケーター感のある黒いリュックが欲しく、なおかつ安いので買った。

メンズには珍しく幅が広めのぽってりしたデザインで、結構アリだなと思っていたが、重いものを入れるとショルダーストラップが自動的に伸びていくという致命的な機能面の不満でお蔵入りとなった。

あまり服に興味がない友達にあげたが、同じ不満を言われた。最終的に片方のショルダーパッドがちぎれる形で寿命をまっとうしたらしい。

フロントのポケットが縦長に2つついているのも面白かったけど、使いやすいと思ったことは1度もなかった。

10. ポーターの3wayリュック

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就職するにあたって、スーツでも私服でも使えそうなのを選んだ。ブリーフ、ショルダー、リュックという3通りの使い方ができるけど、私服勤務になったのでほとんどリュックとしてしか使ってない。

もともとはUniversal ProductsのUtility Bagが欲しかった。

UNIVERSAL PRODUCTS / ユニバーサルプロダクツ | UTILITY BAG - Black | 通販 - 正規取扱店 | COLLECT STORE / コレクトストア

でも当時はどこもかしこも売り切れだし、店舗で買おうにも上京前の街からは遠くて行けたもんじゃない。

それにしても欲しいなーと思っていたところにこのリュックに出会った。

ハンドルに至るまで無駄を削ぎ落としたデザイン、ポーターならではの信頼感に一目惚れした。Universal Productsよりも使い勝手が良さそうだし、サイズもちょうどいい。正直、高かったけど、決して無駄な買い物じゃないと思った。いや、無駄遣いを繰り返してきたからこそ、本当に金をかけても後悔しないものを見極められるようになったのかもしれない。

このリュックは今でも使っているし、人から褒められることも多い。

意外だったのがショルダーパッドで、決して分厚く作られてはないのにすごく疲れない。たぶん人間工学的にうまく作られてるんだろう。背負いやすさはパッドの厚さに比例しないことを知れたのも収穫だった。

止水ジッパーといいPC収納スリーブといい、機能面も十分。ポーターはものによっては野暮ったかったりビジネス色が強すぎたりするが、こいつは休日のストリートで使っても不自然じゃない良いリュックだと思う。

11.visvimのリュック

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働き出したことの収穫は、当然、金が増えたこと。

休日用のリュックを新調しようと思って、金にまかせて良いブランドを買っちまおうかと思っていた矢先に、こいつと出会った。visvimといえばめちゃくちゃ良いものをめちゃくちゃ高い妥当な金額で得るブランドだ。

バカ高い値段を裏切らないほどに、細部の部品に高級感がある。そして全体がずっしりと重いのも(機能的にはマイナスだろうけど)、好みだ。ただ人気商品なので、通販で残ってるのは明るいレッドくらい。定番のブラックやネイビーはほとんどない。

ベージュの中古品を見つけた時、気がつくと買っていた。状態が良く、ポーターの3wayリュックよりは安い値段だった。秋冬に購入したので、暗い色のコートに背負うにはぴったりに見えた。

ざらついたバリスティックナイロン、部分的なスエード使い、収納しやすい内部。

今のところ、俺の中ではこのリュックがナンバーワンだと言える。個人的なルーツであるJANSPORTの要素を、いろいろと引き継いでいるのも感慨深い。わりと容量が小さいので、長めの旅行には使いづらいけど、普段使うには十分だ。旅行には別のかばんを使えばいい。

でも、本当の本当にこのリュックが理想なのか?と言われると、まだ世界には知らないリュックがたくさん眠ってるんだろうと思う。

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いかがでしたか?(爆笑)

旅の数だけ、リュックがある。

あなたの理想のリュック探しのために、少しでも参考になれば幸いです。