夏風邪のこと

今朝、夢の中で老人が俺に向かってこう言った。

「夏風邪というのは、常世の魚群を生け捕りにして、浮世に魚群を放流すること」

 

???

 

起きた時からからだが重かった。喉がひどくいがらっぽくて、関節は油が抜けたように軋んでいる。

体温計は37.7℃を示していたが、軽い熱中症か何かだと思って、仕度して家を出た。24年生きていて夏風邪にかかったことなんてなかったから。

 

電車内のクーラーに悪寒が立つ。

日光の熱射や、肌に粘っこく絡みつく湿度がむしろ心地よく感じられてきて、あ、これは完全にやっちまったなとわかった。

 

会社を早退して病院に行った。

待合室で体温を計ると39℃まで上がっていた。

病院の清潔な空気が嫌いだ。きっちり管理され、整えられた環境の中で、不健康な自分のからだが異化された油絵みたく浮き彫りになるから。

高熱以外はとくに症状もなく、若い医師も首をかしげていた。年のため検査したインフルエンザも陰性。

「最近海外に行ったか?」

「頭を振るとガンガンしないか?」

どれも当てはまらずに、とりあえず単なる高熱、解熱剤を出しときますねという話でけりがついた。

 

何が原因だったのだろう。

昨夜は終電を逃すまで遊んで、眠りについたのは2時過ぎだった。知育菓子「ねりきゃんランド」を樹の根本のベンチで作って、気分はもうフェスティバルだった。あの時、心は確かに子どもに戻っていたし、、、、

 

子どもの頃は、よく熱を出していた。

 

冬になると風邪風邪風邪。毎年のインフルエンザは当たり前で、もともと熱が上がりやすい体質だった。

そのせいで、変に発熱に耐性ができてしまったから、微熱程度では気にせずいつも通り行動して、悪化してから親に怒られるということを何度もした。だから今でもたいして変わってないのだ。

 

ポカリスエットとチョコミント味のアイスを買って帰宅した。

 

バスタブにいつもより深く湯を張った。

 

空想の中ではあんなに待ち望んでいた休暇も、たいしてくつろぐことができない。

 

ひどい時は布団に入って1時間以上寝つけない体質なのだから、じっくり休息に専念することも難しい。 

小さい頃からそうだ。毎日、やりたいことが多すぎるのに、やりきれないまま眠りにつくのが悔しくてたまらなかった。

強欲でわがままなだけかもしれないが、そういう気概を失ったら終わりだという気もする。